小説家、童話作家でもあり翻訳家でもある元女優の松田青子さん。
2013年出版の何気ない日常を切り取った「スタッキング可能」は、数々の文学賞候補となり、注目を集めています。
2020年「おばちゃんたちのいるところ」は、アメリカの文学賞「レイ・ブラッドベリ賞」の候補にあがるなど、海外でも高評価。
今、海外からも注目される松田青子の短編集「男になりたかった女の子になりたかった女の子」ですが、いったいどんなお話しなのでしょうか。
生きづらさを感じる女性たちにそっと手を差し伸べる全11の短編集です。
松田青子さんについて、人気小説・プロフィールや家族構成などご紹介します。
目次
美人作家 松田青子のプロフィール
ペンネーム:松田 青子(まつだ あおこ)
本名:松田 暢子(まつだ のぶこ)
生年月日:1979年(昭和54年)10月11日([birth day="19791011"]歳)
出身:兵庫県
最終学歴:同志社大学文学部英文科卒業
職業:小説家・翻訳家・童話作家・元女優
憧れの芸能人:松田 聖子
2019年、結婚はせずに松田さんは子供を出産しました。
当人同士が納得していればいいという思いもあり、結婚願望はなかったといいます。
制度、しきたりや世間に流されることない松田さんらしいスタイルです。
2000年(21歳) | ヨーロッパ企画第5回公演『苦悩のピラミッダー』で役者デビュー |
2008年1月(29歳) | 同人誌「イルクーツク2」に小説『シャンプーアンドリンス』をゲスト寄稿 |
2008年9月 | 9年間在籍したヨーロッパ企画を退団 松田暢子から松田青子にペンネームを変更 |
2010年(31歳) | 「早稲田文学」に戯曲形式の『ウォータープルーフ嘘ばっかり!』で作家デビュー |
2013年(34歳) | 単行本『スタッキング可能』刊行(第26回三島由紀夫賞候補・第35回野間文芸新人賞候補) |
松田青子の小説ランキングトップ10
松田青子さんの小説を読んだ本や読みたい本など、登録数が多い順にご紹介します。(参照:読書メーター)
生きづらさを感じる女性を救う11の物語
『男になりたかった女の子になりたかった女の子』あらすじ
松田青子さんの作品「男になりたかった女の子になりたかった女の子」をご紹介。
コロナ禍が原因で、子どもを連れホテルに逃げる母親を描いた「誰のものでもない帽子」など、今を生きる女性が感じる11通りの生きづらさを描き共感を呼んでいる一冊です。
日々の暮らしの中で抱いた違和感を元に女性が感じる日常の閉塞感をユニークに描かれています。
著者の松田さんの伝えたかった思いが11の物語に。
女性同士の繋がりを通して生きづらさからの解放を描いた短編集です。
ゼリーのエース
「ゼリーのエース」というお話は、松田さんも大好きだという谷崎潤一郎の代表作「細雪」をオマージュした物語。
「細雪」は、大阪を舞台にした四姉妹のお話で、なかなか結婚しない三女の雪子に姉たちが頭を悩ませます物語です。
結婚を夢見る女性たちを松田さんは、なんと冷蔵庫の中で身が固まるのを待つゼリーで表現。
「お金持ちやったらいいなあ」
「うちはやさしい人やといいな」
と、自分が買われていく先について関西弁で女子トークを繰り広げるゼリーたち。
しかし、ある日 いつまで経っても身が固まらないゼリーが登場。
そのゼリーは主張する。
「なんで身が固まらないといけないんです?」
「なんでこのままやとあかんの?」
この疑問に反論は出ず、これまでの当たり前を覆しゼリーの新たなあり方が示された。
今まで感じてた生きづらさや固定観念というものが、この本を読んでスッと軽くなる物語です。
許さない日
こちら「許さない日」は6ページにも満たない物語。
主人公の女性が大人になったある日、実は小学生のころ体育の授業で履いていたブルマがイヤだったことを思い出す。
やがて怒りに震え、ひたすらブルマを細かく切り刻んでいく。
大人になって「本当にムカつく!」という気持ちになしました。
時が経った時に「こういうことだったんだ!」と理解できました。
「男になりたかった女の子になりたかった女の子」感想・レビュー
男の子になりたかった女の子になりたかった女の子/
松田 青子あー、面倒臭い。
女だからって、身を固めなくたって、一人回転寿司したって、ブルマはかなくちゃならないのも、生理があるのも。あと、男だからって赤いおもちゃが好きだっていいじゃない。
人生面倒臭いの短編集#読書レビュー pic.twitter.com/nM19iqK4HN
— 真琴 (@makomsk) May 15, 2021
読んだ本、松田青子『男の子になりたかった女の子になりたかった女の子』。短編集。とてもよかった。松田さんの小説は、俺らが目にしていながらまったく見えていないことを、くっきりと描き出す。例えば、世の中で傑作とされている映画だとしても、「男が選んだ男の傑作」にすぎないということとか。
— bubbles-goto (@bubblesgoto) August 8, 2021
『男の子になりたかった女の子になりたかった女の子』11篇すべてたまらなく良かった。なかでも『物語』がこれまた読みながら喚きたくなるほど良くて、しかも初出が2014年て、松田青子さんて一体なんなの…ありがとう生きてやるぞ…と思いました。 pic.twitter.com/0sBfnQxd5I
— おしろいばな (@osiroibanaa) June 20, 2021
まとめ
シュールでリアルな独特な世界観でしたが、物語の一つひとつが心に刺さり余韻が残りました。
日々感じている怒りや違和感など、自分の体験とも重なるところが散りばめられているところも共感。
物語の「誰のものでもない帽子」は、ホテルに滞在しているお母さんと赤ちゃんの描写があり、今のご時世ならではのお話です。
欲しい言葉を優しくもらえそうな本で、ユルく表現されている描写が松田さんらしいなと思いました。