今回は、著者の万城目 学(まきめ まなぶ)さんが描く壮大な冒険物語『ヒトコブラクダ層ぜっと』(幻冬舎単行本)をご紹介。
今作、万城目さんが挑んだのは、構想15年・執筆に4年を費やした上下巻合わせて900ページ超えの超大作。
ティラノサウルスにメソポタミアの発掘、実際の出来事と組み合わさった架空の設定がもはや史実のように思える縦横無尽に展開していく物語です。
万城目さんは、熊本で実際に白亜紀の化石発掘の体験を行ったり、イラクの隣のヨルダンに行って国内外の取材を重ねたそうです。
目次
あらすじ『ヒトコブラクダ層ぜっと』著者:万城目 学
万城目 学さんは湾岸戦争のあとの砂漠を舞台にした予告編を観て、もし日本人がイラクの砂漠でなにか物語を紡ぐなら自衛隊の人がPKO活動で書いたらいけるかな?と想像したことが物語を描くきっかけだったそうです。
万城目 学さん
15年間かけて練り上げたストーリー。
今回は、超えられない何かを書いた気がします。
特殊な能力を持つ三つ子の運命は!?
主人公は三つ子の長男・榎戸 梵天(えのきど ぼんてん)、次男・梵地(ぼんち)、三男・梵人(ぼんど)。
幼い頃、隕石が落ちて両親を亡くした三つ子の兄弟。
それからは、長男の梵天が親代わりとして働き、梵地と梵人を養ってきた。
そんな彼らには、誰にも言えない特殊な能力があった。
長男の梵天は、壁の向こうや土の中を透視する力を持つ。
しかし、透視できるのは3秒間だけ。
その能力は地中深くに潜む化石を見つけるのに非常に役立ち、恐竜の化石を発見することがいつしか梵天の人生の目標になった。
次男の梵地が持つ能力は、世界中どんな言葉も理解できること。
そして三男の梵人は、3秒後に起こる出来事が分かる能力。
梵人が中学一年のとき、学校で朝から会った全員とじゃんけんをしたが、八十三回の勝負で一度も負けなかった。
相手の動きが先に分かるため、勝負事は連戦連勝だった。
そして、三兄弟はその能力を使って貴金属泥棒を実行して大金を手に入れることに成功した。
ライオンを連れた謎の女
ある日、そんな彼らの前にラピスラズリ繊維の青いコートを身にまといライオンを連れた謎の女性がリムジンから現れる。
そして、謎の女性は
「あなたたちについて、必要なことはすべて知っている。」
と、3人の特殊能力のことを言い当てた上、誰にも知られたくなかった3人のある秘密さえも知っていると言う。
完全に弱みを握られてしまった3人に対して、女が要求したのは自衛隊への入隊。
そして、PKO部隊としてイラクに行き、あるミッションを遂行することだった。
そのミッションとは、世界最古の文明の地メソポタミアでヒトコブラクダ層を探すこと。
そこでイラクに派遣された梵天・梵地・梵人の三兄弟は謎の組織に拉致され、向かわされたのは砂漠のど真ん中。
そのこには、またあの謎の女がいたのだ!
「ようこそメソポタミアの地へ」
物語は、古代メソポタミア文明の壮大な謎に迫っていく物語です。
万城目学さんのプロフィールと映画作品
読み終わった方から「面白かった!」との感想をいただいている『ヒトコブラクダ層ぜっと』。万城目学さんは、どんな考えであの超弩級エンタメ小説を書いたのか。瀧井朝世さんがインタビューしてくださった記事がこちらから読めます。https://t.co/1LsN0aAt6t
— 『ヒトコブラクダ層ぜっと』公式|万城目学最新作 (@hitokobu_so_z) July 31, 2021
よみがな:まきめ まなぶ(本名)
生年月日:1976年2月27日
出身地:大阪府出身、東京都在住
学歴:清風南海高等学校・京都大学法学部卒業
万城目 学さんは現在[birth day="19760227"]歳。
化学繊維会社の静岡の工場勤務を経て、2006年第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞し『鴨川ホルモー』でデビュー。
万城目ワールドと呼ばれるように万城目さんならではの世界観があり、奇想天外な物語は多くの読者を虜にしています。
お笑い芸人のロザン・宇治原史規さんとは大学の同級生でしたがが交流ありません。
また、京都大学法学部で1学年上の作家・平野啓一郎さんとは面識がないそうです。
映画化された「万城目ワールド」ファンタジー小説
◼️『鴨川ホルモー』
2006年:エンターテインメント1位
2007年:本屋大賞にもノミネート
公開日:2009年4月18日公開(松竹)
主演 :山田孝之・濱田岳・栗山千明
監督 :本木克英
◼️『プリンセス トヨトミ』
2009年:第141回直木賞候補
2009年:咲くやこの花賞受賞
公開日:2011年5月28日
主演 :堤真一・綾瀬はるか・岡田将生
監督 :鈴木雅之
◼️『偉大なる、しゅららぼん』
公開日:2014年3月8日
主演 :岡田将生・濱田岳
監督 :水落豊
『ヒトコブラクダ層ぜっと』感想・レビュー
ヒトコブラクダ層ぜっと 上・下/万城目学 読了
ぜぇぇっとッ という水木*郎アニキの雄叫びが…あ、空耳かぜっとて何だろうてかヒトコブラクダ層て何よ層てまた人を食った摩訶不思議なタイトルじゃあありませんか流石の万城目ワールド一気読みですああ面白かった榎土三兄弟かっこよすぎて惚れましたわ pic.twitter.com/f1zjJJuXR3— 怠け心のきみ 📖読書垢 (@bookQirixianmei) July 31, 2021
万城学「ヒトコブラクダ層ぜっと」
小説内で使われる「たまさか」って万城目先生独特の可愛い表現だなぁと思いながら読破。三つ子の独特な名前と苦手な世界史メソポタミア…と445P+490Pの上下巻が長く感じる時もありましたが、中盤に入ってからはあっという間でした。#ヒトコブラクダ層ぜっと— まつこ (@matsuko_w) July 28, 2021
『ヒトコブラクダ層ぜっと』上 万城目学
上巻を読了。
厚みがある本なので、上巻を買って読み終わったら下巻を買うつもりで失敗。
止まらない面白さなので一気に買っておけば良かったです。三つ子の超能力者達の特技は泥棒、恐竜化石発掘、ミソポタミア、未来予知。
面白くない訳がないです。— Mako (@callabouquet) July 25, 2021
まとめ
謎に満ちたメソポタミア神話や恐竜など、知性をくすぐり自然の摂理を散りばめながらロマンを掻き立てられました。
最後は、古代遺跡・古代人の話が宇宙説に!
特殊な能力を持つ兄弟の絆あり、アクションあり、謎解きあり、これぞ万城目ワールドの痛快な冒険小説です。