実力派作家が描く、衝撃のノンストップミステリー小説。
今回は、2021年06月30日に発売された著者 伊岡瞬さんの人間の素顔を暴く戦慄のミステリー『仮面』をご紹介します。(ページ数:416)
伊岡瞬さんは、息もつかせぬ展開と人間の心の闇に迫る作風で多くのファンを魅了する実力派。
そんな伊岡さんの最新作は、不可解な2つの事件をきっかけに人気コメンテーターの本当の姿が暴かれていくミステリー小説です。
外であなたは仮面を被ってませんか?
伊岡瞬さん
あなたは仮面を被ってませんか?
ということを問いかけながら描きました。
目次
伊岡瞬『仮面』あらすじ ノンストップミステリー
人気評論家がもつ裏の顔
作家で人気コメンテターの三条公彦には、幼い頃の事故が原因で文字を認識することが困難な読字障害があった。
しかし、三条は努力を重ね、アメリカの名門大学に留学。
アメリカから帰国後は、その半生を綴った著書が話題となりメディアにも出演するようになる。
整った顔立ちと落ち着いた物腰、そして波乱万丈な生い立ちを武器にスターに成り上がっていった。
三条の秘書として雇われた菊井早紀と共にテレビ番組に出演し、カンペなどの情報を早紀にサポートしてもらうことでハンディキャップを克服。
その姿は、多くの共感を集めていた。
早紀もそんな三条を尊敬していたが、一方で常に冷静沈着な三条の本心がどこにあるのか気になることもあった。
そんなある日、週刊誌の記者が三条のアメリカ時代について話があると車に乗り込もうとする三条の元に強引に押しかけてきた。
無視を決め込む三条に記者が食い下がり、
「三条さん、何か訊かれたらまずいことでも・・・!?」
すると、三条は声を荒らげた。
「早く(車を)出せっ!」
常に理性的に振る舞う三条だが、過去を問われ感情を露わにした。
こんなに感情的な三条を早紀はこれまで見たことがない。
だが、一方で当初はテレビ業界の浮ついた空気になじめなかった秘書の菊井も徐々に仮面が剥がれていく。
テレビで見せる冷静な顔と今の顔は、どちらが本物の三条なのか?
2つの事件と暗黒への扉
時を同じくして、2つの事件が起こった。
一つは、雑木林でパン屋の妻・宮崎璃名子の白骨遺体が発見。
もう一つは、最近子どもを亡くしたという高層マンション住まいの主婦・新田文菜の失踪だ。
2人の被害者、夫に隠れて複数の男性と浮気する宮崎璃名子、そして夫以外の男性との妊娠を望む新田文菜も仮面をまとっていた。
関連性は低いと思われた2つの事件。
しかし、刑事の宮下は2人が学生時代からの友人関係にあったことを知り、刑事の小野田と失踪した新田文菜の搜索に乗り出すことになった。
すると、失踪した新田文菜の部屋の本棚にあった3冊の本が目にとまった。
それは三条が、自身のアメリカ時代を記した著書だった。
果たして、三条が2つの事件に関わっているのか?
捜査を進めると、三条の隠された過去が浮かび上がった。
刑事は文菜と璃名子、そして三条の奇妙な繫がりに気づき、それはやがて2つの事件へと繋がっていく。
三条の仮面の下に隠された素顔とは?!
ラストまで目が離せません。
伊岡瞬『仮面』プレビュー・感想
仮面/伊岡瞬#読了
一見関係なさそうな2つのストーリーが集約されるのは爽快でしたが、それぞれの登場人物の「仮面」が剥がれた瞬間、良い意味で胸糞悪く、不快な気持ちでした。まぁー最低な人達ばかりでしたが、人間の欲望というのは、時に恐ろしくもあり時に哀しくもあるということを感じました。 pic.twitter.com/NQjYngLEIJ
— robin1101/ブクログ (@zip01938297) July 9, 2021
『仮面』 伊岡 瞬:文芸書 | KADOKAWA https://t.co/1fK88QBIRB
色々なエピソードが徐々に重なり、事件の真相が見えてくる。加速度的に面白くなっていく。後半の畳みかけるような展開がすごいです。表紙カバーの意味はなるほど、あれなのか。まさに極上のミステリです。— masakazu henmi (@masakazuhenmi) July 15, 2021
【仮面/伊岡 瞬】徐々にはがれていく仮面にドキドキ。もしかして……と思いながら最後まで読むと意外な展開も。一気読みしたくなる一冊。映像としても観てみたくなったので映画化希望。 → https://t.co/CH4mFB8bG0 #bookmeter
— わのこ (@wanoko) July 12, 2021
伊岡瞬さんのプロフィール 出身地や経歴は?
#伊岡瞬 氏
新作『#仮面』(KADOKAWA)で描く「途中で本を投げ捨てたくなるような悪」https://t.co/xdMTw5PfnK— KADOKAWA文芸編集部 (@kadokawashoseki) July 15, 2021
ふりがな:いおか しゅん
最終学歴:日本大学法学部卒業
出身地:東京都武蔵野市
住まい:神奈川県川崎市在住
伊岡瞬さんは、1960年(昭和35)生まれの[birth day="19600215"]歳。
広告会社勤務を経て、2005年のデビュー作『いつか、虹の向こうへ』で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞しました。
伊岡瞬さん
ミステリーは大きく2通りあって、最初に事件が起きて探偵が解決していく方式となんとなく物語が始まってどっちいくんだろうと?というのがあります。
ボクは後者が好きで、何が起きているか分からないのに読者を引っ張っていくところに喜びを感じます。
文学賞受賞・候補歴
2005年:『約束』(いつか、虹の向こうへ)第25回横溝正史ミステリ大賞受賞。
2010年:『ミスファイア』第63回日本推理作家協会賞(短編部門)候補。
2011年:『明日の雨は。』第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補。
2014年:『代償』第5回山田風太郎賞候補。
2016年:『代償』啓文堂書店文庫大賞受賞。
2018年:『痣』第20回大藪春彦賞候補。
2019年:『悪寒』啓文堂書店文庫大賞受賞。
2020年:『不審者』第41回吉川英治文学新人賞候補。
2020年:『痣』第6回徳間文庫大賞受賞。
同じ家で暮らしていた2人の少年が弁護士と犯罪者になり対峙する『代償』は52万部を超える大ヒット。
Huluでしか観ることができませんが、2016年に小栗旬さん主演でドラマ化しました。
まとめ
人物の視点が早いテンポで変わって、飽きずに一気に読む事ができました。
読み進めていくうちに、登場人物の仮面が1枚づつ剥がれていきます。
それと同時に、真実を追うベールも一枚づつ取り払われていき、最後に見える真相が人間の持つ恐ろしさそのもの。
普段の顔がその人の本性だとは限らない人間の本質に迫る一冊です。