辻村深月『琥珀の夏』あらすじ/感想 直木賞作家の泣けるミステリー小説

2021年6月9日に発売された直木賞作家 辻村深月さんの2年ぶりの最新長編『琥珀の夏』(ページ数:552ページ)をご紹介。
琥珀の夏は、2019年3月15日から辻村さん地元の山梨日日新聞紙で連載されました。

表紙は、大装丁家・大久保明子さんのデザインです。
大久保さんは、又吉直樹さんの『火花』や芥川・直木賞作家の村上春樹さんの作品も手がけてます。

『琥珀の夏』には、幼い日の記憶に隠された友情と罪が描かれ、読んでいるうちにどんどん引き込まれていきました。
圧巻のラスト・・・そして、泣けるミステリーです。

いつのまにか忘れてしまっていたことを大人になってからふっと思い出すような、そんな「記憶」をテーマした小説です。

辻村深月さん

女性1

自分の中にある子ども時代をぞき込む気持ちで書きました。

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辻村深月『琥珀の夏』あらすじ

土曜日の昼下がり、弁護士の法子は偶然目にしたあるニュースに手を止めた。
それは、かつてカルト団体が活動していた場所から子供の白骨遺体が発見されたというもの。

団体の名前は「ミライ」の学校。

そこでは、自主性を育むという教育理念のもと、子ども達が親元を離れて共同生活を送をしていた。
多いときには100人近い子ども達が暮らしていたという。

団体施設跡地で女児の白骨遺体発見か?!
食い入るようにニュースを見る法子に夫が声をかけると、

法子「私、ここ、いたことがある。」

実は、法子はミライの学校で少しだけ過ごした経験があった。
小学生の頃、夏休みに開催される1週間の合宿に毎年参加していたのだ。

白骨遺体が自分の知っている子でなければいい。
そう思った瞬間、法子は1人の少女を思い出した。

名前はミカ。
ミカは、ミライの学校から突然姿を消した法子の友達だった。

埋められていたのは、もしかしてミカではないのか?
胸のざわつきと共に30年前の記憶が蘇る。

よみがえる30年前の記憶

物語は、現在から過去へ。
30年の時を超え、ミカが消えたあの夏の記憶を辿っていく法子。

2人がミライの学校で出会ったのは4年生の夏。
内気な法子は、他の子ども達とうまく馴染めずにいた。

そんなとき、声をかけてくれたのがミカだった。
ミカは幼いときからミライの学校で暮らしていて、いつも明るく振舞っているが、両親の離れて暮らす寂しさをかかえていた。

2人はすぐに親しくなり、約束を交わした。

ミカ「法子ちゃんのこと友達だと思っていい?」

法子「友達だよ。私はミカちゃんの友達」

しかし、友情は続かなかった。

6年生の夏休み、合宿に行くとミカの姿はいなかった。
どこへ消えてしまったのか?!

法子は忘れてしまっていた友達との約束を果たすため、あの夏ミカが消えた真相を探り始める。

法子はミカの過去と対峙する中で、子どもの頃は気づかなかったミライの学校の本当の姿を知ることになる。
そして、そこにはミカが消えた真相が隠されたいた。

すべてを知った法子が、最後に伸ばした手の先にあったあの夏の真実とは?
記憶の扉を開き、過去と現在を見つめ直す物語です。

辻村深月さんのプロフィール 学歴や家族構成

辻村深月さんは現在[birth day="19800229"]歳。
ご主人と子ども2人の4人家族です。

小学校6年生の時に『十角館の殺人』を読んで以来、綾辻行人さんの大ファンになりました。
ペンネームの「辻」は、作家の綾辻行人さんから取られたそうです。

ふりがな つじむら みづき(ペンネーム)
生年月日 1980年2月29日
出身地 山梨県笛吹市出身
学歴 笛吹市立石和東小学校 
笛吹市立石和中学校 
山梨学院大学附属高等学校特進コース 
千葉大学教育学部

辻村深月さん『琥珀の夏』レビュー・感想

辻村深月さん

女性1

「琥珀の中に封じ込めたままの夏」という意味を込めて『琥珀の夏』というタイトルに決めました。

まとめ

いつの間にか、忘れていた小学校の日々のできごとなど、後悔していることや心が締め付けられることを思いだしましたが、この本を読むとそれすらも愛おしく感じます。
主人公の法子が、30年前の過去の自分を必死に守ろうとする姿があり、心を打たれました。
そして、結末が今の自分に響く内容でした。

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